虹の日記

人生半ば。いくつになってもやわらかい心で、感じたままに書いていきたい。

夜を探して (前編)

夜会を見て、昔が懐かしくなりました!

ちょっと小説風に思い出を書いてみようと思います📚️

 

雨上がり。

湿気で蒸し暑い夜道を急いだ。

大学からの友達イズミが、何やら話したい事があるらしい。

最近、妙におしゃれ。もしかして恋?

 

ハンバーガーショップはまだ誰もいなかった。

外人の店員に水だけもらう。

ここは、日本と外人が働いているハンバーガーショップ

たまたまアヤと三人で入り、まるで配信の外国ドラマみたいなノリに圧倒されつつ、面白くておいしいので通っている。

 

「お待たせ」

アヤが入ってきた。

お気に入りのヴィトンのバックを席に置いた。

 

高校からの親友のアヤ。

中学は公立だった私は、私立の生徒達のおしゃれさに少し戸惑ってた。

明るいアヤは、同じクラスの友達を紹介してくれ、すぐに仲良くなった。

同じミュージシャンのオールナイトニッポンも聞いていて、よくその話しをした。

 

部活の帰り。

アヤと学校の近くのクレープ店に行った。

 

アヤはボランティア部、私は美術部だった。

アヤが手話を見せてくれて、訳の分からなさ

に笑ってしまった。

お金持ちで美人でいながら、優しい。

ちっとも偉ぶったところがなく気さくで、

そんなアヤが好きだった。

 

「今、何を描いてるの?」

「モネのひまわりの模写」

ゴッホじゃなくて?」

モネのファンだったけど、睡蓮はサイズもあるし到底描けないから、ひまわりを油絵で模写していたがやっぱり苦戦していた。

やっぱりモネはすごい!

「うん」

「すごい、今度見せて!」

「ん~、全然だし。」

 

歩きながらクレープを食べてると銭湯が見えてきた。

「家昔、銭湯だったんだ」

アヤがポツリと言った。

「あ、そうなの!」

アヤの意外な過去にびっくりした。

「もう上手くいかなくて、売って今の不動産業始めたんだけど、親が。

でも、不動産なんて初めてだからなかなか。

親がしょっちゅう揉めてて」

全てが幸せそうに見えたけど、お家は大変そう。

私は両親の仲が悪かった。

たまらなくなると、休日は友達の家に遊びに行っていた。

早く大人になって独立したかった。

 

「私一人っ子でしょ、いつかはあの家を継がなきゃいけない。でも、不動産あんまり興味ないし、自分の好きな事を仕事にしたいのよね」

アヤがため息をついた。

「そうなんだね…。私は家に居づらいし、大人になったら独り暮らしをしたい」

 

銭湯の煙突の巨大な影が二人を被うような感じがした。

 

「二人で逃げちゃおうか?」

「いいね!」

 

大人に縛られたくない。

二人手を取って、自由な世界に駆け出そう!

 

夜はこれから。

(続く)